「合格」と言う、今まで同じような状況を作り出してくれたお子さん達は、恐らく二桁では収まらないと思うが、こうしてご本人に電話でお礼を言わせてくれたのは初めてだと思う。
高校合格の報告とお礼だったのだが、2年間お母さんの電話でしか情報をいただいていなかった。お子さんが学校に行きにくいなどの悩みを抱えているのに、お母さんがとても明るく振る舞われていて、当初からきっと克服できると予想していたが、入学後の対処の仕方も又、あっぱれだ。
電話口に交代で出てくれた少女も又、お母さまの素質を貰っているのか、いい子が開口一番で伝わって来た。こうしたお子さんを持った親は幸せだろうな、家庭は明るいのだろうなと感じてしまう。ほとんど嫉妬に近いかもしれない。それとも後悔か。
職業人を育ててしまったと言う思いから抜け出せない僕でも、こうしたお子さんと接すると気持ちが安らぐ。優しさが一瞬のうちに伝わってくるようなお子さんは、繊細さとは裏腹だ。人に好感のビームを照射するが、自分にも同じ熱量を発射している。だからしんどいはずだ。ただ世間の垢に染まれとは言えない。古き良き時代ならその垢が成長を助けてくれただろうが、今は利点より悪質度の方が遥かに勝る。悪は悪の度合いを深め、どんな輝きも内包していないように見えるから。
わずか数分の交流だったが、無理をせず、青春を幸せで埋め尽くしてほしいと思わずにはおれなかった。