健康情報 ストレス

ストレスとは

よく「ストレスがたまる」という言葉を耳にします。一見、危険なこと、気持ちが沈むこと、自分にとって都合が悪いことなどに対しての言葉の様に感じますが、逆に昇進や結婚など嬉しいことや楽しいこともストレスとなることがあります。周囲の人から見れば喜ばしい事でも、「責任を果たさなければ、期待に応じなければ。」というプレッシャーがかえってストレスになることがあります。もともと、この気持ちが沈んでしまう出来事や昇進など引き金になるものをストレッサー(またはストレス源)と呼び、ストレッサーによって生じた動悸、不安、緊張などの心身の状態の事をストレスといいます。そしてその様な動悸・不安などの状態が長く続くと、体や心に大きな変化が引き起こされて、心身の「不調」や「病気」につながっていくのです。現在の日本では、このストレス・ストレッサーのどちらもまとめて「ストレス」と呼ぶのが一般的です。

自律神経

自律神経とは別名”植物神経”とも言われるもので、全身の様々な臓器や器官のコントロールを行っています。このコントロールが人間の体に備わっている恒常性 (ホメオタシス)を維持するためにバランスをとりながら、自分の意志とは関係なく働いています。自律神経には交感神経・副交感神経の2種類があり、この2つはそれぞれ相反する作用をもっていて、一般に交感神経は活動の神経、副交感神経は休息の神経と呼ばれています。この自律神経はストレスによっても影響を受けやすく、驚いたり不愉快な感情が起きたりすると、交感神経の方が活発に働きます。
例えぱ、突然の恐怖などによって激しい感情が起こると、心拍数が増加して呼吸が激しくなったり皮膚に発汗が起きたりするのはそのためです。ところがそういったストレス状態が長期にわたって続くと、交感神経はずっと興奮した状態のままになってしまい、副交感神経との切り替えがうまくいかなくなり、自律神経のバランスが崩れていく事になります。これが、体に様々な不調があらわれる「自律神経失調症」と呼ばれるものにつながっていくのです。

★主な器官と自律神経の働き
器官 交感神経 副交感神経
瞳孔 拡大 縮小
唾液 濃くなる 薄くなる
気管支 広げる 狭める
心臓(心拍) 早くなる 遅くなる
胃腸(働き) 抑制 促進
膀胱 弛緩(尿閉) 収縮(排尿)

自律神経失調症

自分ではこれといった原因が思いあたらないのに、「肩こりがひどい」「胃腸の具合が悪い」「手足の先がしびれる」など慢性的な体の不調を訴える、この様な状態は一般に自律神経失調症と呼ばれます。自律神経失調症の特徴としては、
①主に自律神経系が関係する機能の障害によって体と心に原因不明の様々な不調が現れる
②検査をしても臓器や器官に病的変化は認められない
ということが挙げられます。しかし実際には、この自律神経失調症という病名は正式に公認されておらず、自律神経失調症に対する医師の捉え方もマチマチというのが現状です。また自律神経失調症には、ストレスや環境などが関わっていると同時に、その人の生まれ持った性格や体質が発症に大きく影響しています。

こんな人は要注意

自律神経失調症になりやすい性格・体質
【性格】 クヨクヨと考えがち
人に依存しがち
周囲の目や他人の評価が気になる
ささいな事が気になる
【体質】 やせ型
虚弱体質
アレルギー体質
乳児期によく夜泣きをした

ストレスに強くなる為の暮らし方

ストレスに強い体作りを心掛けましょう!
《規則正しい生活を!》
自律神経は乱れた生活が嫌いです「食事」「睡眠」「運動」の正しい生活習慣を心掛けて生活のリズムを整えましょう。
《カルシウムを摂ってイライラ解消!》
カルシウムは神経伝達に重要な役割を果たすとともに、怒りっぽさやイライラ感を抑える働きがあります。眠れない時に牛乳を飲むと良いといわれるのはこのためです。
《毎日の暮らしの中で歩きましょう!》
運動があまり得意でないという方も歩くことは簡単に実行できます。歩く事は不安を鎮め、その後にリラックスできるという効果もあります。一駅分歩く、エレベーターやエスカレーターを使わないなど身近なところから実践していきましょう。
《オン・オフを上手に切り替えましょう》
仕事中は交感神経が働き、休養時には副交感神経が働きます。休養時にも仕事を持ち込めば、交感神経の興奮状態が続き、精神的にもオン・オフの区別がつかず、自律神経のバランスが崩れます。スポーツや趣味を楽しんだり、外出するなど、体だけでなく心の切り替えを行いましょう。
《完璧主義を返上しましょう!》
いくら一人頑張っても、世の中には無理な事もたくさんあります。完璧主義を返上して、少しでもゆったりした気分になりましょう。心の余裕は体の余裕といつも一緒なのです。

思い切り泣くとストレス解消するのは何故?

悲しい時に涙が出たり、悔しい思いをした時にも自分の意志に反して涙が出る事があります。それでは、何故涙が出るのでしょうか?また思い切り泣いた後にスッキリとした気分になるのはなぜでしょうか?涙の成分を分析したところ、悲しい時や悔しい時に流す涙の中にはストレス反応ホルモンといわれる「コルチゾール」の産生・分泌を促す「ACTH」というホルモンが含まれていることが分かりました。私達は外部から強いストレスを受けると、脳の中の脳下垂体と言われる部分で、この「ACTH」を分泌し、「ACTH」の分泌を受けて副腎皮質でコルチゾールが作られ、驚きやショックに対応できる様にします。泣<だけ泣いて、スッキリした気分になるのは、涙と共に悲しみや悔しさで生まれたストレスも流し出したからなのです。


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