健康情報 耳鳴り耳鳴りとは「周囲に音を出すものがないのに耳や頭の中で音が聞こえる現象」をいいます。症状の軽いものは日常経験することがありますが、他に原因がある場合もあります。厚生労働省の平成10年度国民生活基礎調査によれぱ、耳鳴りを訴える人は、人口千人に対して24.7人という結果が出ています。年齢別に見ると35歳頃から増加し、65~74歳をピークに以後減少しています。 耳鳴りは他覚的なものと自覚的なものに分けることができます。他覚的耳鳴りは、他人にも「コチコチ」「パチパチ」といった音を直接聞き取ることができるもので、鼓膜の奥にある小さな筋肉の痙撃などが原因となります。ただし、実際の患者数は非常に少ないとされています。一方、自覚的耳鳴りは本人だけが聞こえるもので、一般に耳鳴りという場合にはこの自覚的な耳鳴りを指します。症状として、「キーン」という高い音が聞こえる人や「ゴー」という低い音が聞こえる人、また音が日常生活に支障をきたすほど大きいと訴える人もいれば、ほとんど気にならない人もいるように、感じ方は人によって異なります。さらに耳鳴りを訴える人の約80%に難聴を認めるという報告もあり、耳鳴りは難聴と密接に関係していることも明らかです。 耳鳴りの原因 耳鳴りの原因は現在のところ、はっきりわかっていません。しかし、音が聞こえるしくみと深く関わっているとされています。 ~音か聞こえるしくみ~ 1 鼓膜 2 耳小骨 3 半器官 4 蝸牛 5 蝸牛神経 6 卵円窓 7 耳管 8 耳管開口部 9 正円窓 10 中耳腔 耳は外側から「外耳・中耳・内耳」の3つの部分から構成されています。外耳はさらに耳たぶと呼ばれる「耳介」と「外耳道」に分けられます。音はまず空気や水の振動が耳介から外耳道を通って伝わり、その奥にある鼓膜を振動させます。その振動が中耳の耳小骨(鼓膜に接する小さな骨でツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨の3つがつながっている)に伝わり、増幅されて内耳にあるカタツムリのような形をした蝸牛という部分に伝わります。この蝸牛で物理的な振動が電気刺激に変えられ、その電気刺激が聴神経から脳に伝わり、脳はその刺激を「音」として認識します。 耳鳴りや難聴は、この音が伝わる経路のどこかに何らかの障害が起こった場合に発症すると考えられています。耳鳴りや難聴を伴う原因疾患としては次のようなものがあります。 ●突発性難聴 はっきりした原因がなく突然音が聞こえなくなくなる病気を突発性難聴といいます。ほとんどの場合片側の耳にだけ起こり、40~60歳代の中高年に多く見られます。ストレスが関係しているという説や、風邪をひいた後に起こりやすいためウイルスが原因ではないかという説もあります。この病気は早い時期に治療を行わないと難聴が治らず、耳鳴りも続くことになるため、症状に気づいたらすぐに医療機関を受診する必要があります。 ●老人性難聴 加齢に伴って発症するもので、通常は両方の耳に起こります。はじめは高音の耳鳴りがすることが多く、しだいに会話が聞き取りづらくなっていきます。老人性難聴は病気というよりは音を伝える器官の細胞が衰える加齢現象の1つといえます。日常会話が不自由になる場合は補聴器を使用することもありますが、聞こえないことによって精神的ストレスを抱える人も多いため、あまり気にせず疲れをためない生活を送ることが第一です。 ●メニエール病 この病気はめまい疾患の中で最も有名なもので、特に中年の女性に多くみられます。めまいに伴って耳鳴りや難聴、耳閉塞感が起こり、めまい発作が度重なるうちにこれらの症状が残ってしまう可能性が高くなります。そのため症状に気づいたら早めに受診するようにしましょう。また、メニエール病はストレスとの関連が強く指摘されているため、ストレスをうまく回避するような生活を送るこが予防につながります。 それ以外にも、耳鳴りを起す疾患として外耳炎や中耳炎、また喉や鼻の炎症か原因となっ起こる場合、さらに脳動脈硬化症や聴神経腫瘍のような重篤な疾患が潜んでいることもあります。いずれにしても、きちんと検査を受けることが大切です。 治療と養生法 耳鳴りの治療は日常生活に支障をきたさない程度に抑えることを目的としています。また多くの場合、耳鳴りは難聴を伴うことが多く、難聴を治すことが出来れば耳鳴りも自然となくなることが多いようです。治療としては、薬物療法や手術療法、心理療法などが行われています。治療薬には鎮静剤なども用いられます。 また耳鳴りの症状は常に一定というわけではなく、1日のうちでも強くなったり弱くなったりします。耳鳴りを強く感じる原因には、疲労・睡眠不足・ストレスによる精神的な興奮などがあり、逆に十分な睡眠がとれた時や安静時があまり症状は感じられないようです。そのため、日頃から規則正しい生活を心掛けることも重要です。 イチョウ葉に注目! イチョウ葉に含まれる成分には酸化を防いだり、脳の血流を良くする効果が知られています。ヨーロッパでは医薬品として30年以上の実績があり、記憶力・集中力の低下やめまい・耳鳴り等に私用されています。脳血流を改善する意味でイチョウ葉などのサプリメントを利用するのも良いでしょう |